漢方は冷えやだるさなど、病院の検査では異常が見つからない症状に効果を発揮します。漢方は、ウィルスや細菌を直接攻撃するのではなく、人間が本来持っている能力を引き出すものです。但し、即効性はないので、長期間かけて飲み続ける必要があります。
漢方医学は、日本の伝統医学で、5世紀~6世紀頃に遣隋使や遣唐使が中国に渡り、日本に持ち帰って独自に発展しました。そのため、日本の気候や日本人の体質に合うように調合されています。自然由来の生薬なので、体に優しく安心して飲むことができます。
辛い更年期の症状
50歳前後になると多くの女性が、閉経を迎えます。更年期とは、閉経を挟んだ前後5年の約10年間です。この時期に、女性の体の中で急激変化するのが、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量です。40代に入ると、エストロゲンが一気に減り、自律神経の乱れが生じます。自律神経の乱れにより、血管の拡張と収縮の調整が上手く行われず、火照りやのぼせなどの症状が起こります。このような症状を漢方の力で、改善することができます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
比較的痩せ型で、体力のない人に向いています。この漢方は、血の巡りをよくして体を温める効果があります。冷え性、貧血、むくみ、肩こり、頭が重い、下腹部の痛み、腰痛などに有効です。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
基本的には痩せ型で、虚弱な人に向いています。当帰芍薬散に似ていますが、イライラ、不眠、カッとなりやすいといった症状のある人に効果があります。他にも、めまい、頭痛、冷え性、むくみ、動悸などに有効で、神経症状を伴う場合にお勧めです。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力のある人に向いています。がっちりした体型で、下半身が冷えやすいのに、上半身はのぼせたり赤ら顔になったり、肩こりがあるというタイプです。のぼせ、ほてり、便秘、肩こり、手の冷え、腰痛などに有効です。女性ホルモンの乱れからくる症状を治す漢方です。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
虚弱な人に向いています。のぼせ、冷え、肩こり、頭痛、月経不順、生理痛に効果があります。長引いた風邪にも有効です。他にも、呼吸器系、消化器系、自律神経系、内臓などを改善する効果があります。
女神散(にょしんさん)
更年期の症状を改善する漢方です。それから、産前産後の自律神経の乱れを整える効果もあります。背中がカーっと熱くなるなどのぼせがきつい場合にも効果があります。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人や、食欲旺盛で体力が充実している人に向いている漢方です。体の熱を放出、便秘改善、水分代謝の促進、滋養強壮、血行促進、胃腸機能を高めるなどの効果があります。皮下脂肪は、簡単には落とすことができない脂肪なので、運動と併せて漢方を飲むことで皮下脂肪を落としていくことができます。
更年期の可能性も
更年期に見られる症状には、頭痛や肩こりなど、元々体質的に起こりやすいものもあります。他にも、高血圧、心臓病、甲状腺の病気、メニエール病などほかの病気が原因で起こる症状に似ていることもあります。全て更年期の症状だと決めつけないようにすることも大切です。
漢方で未病とは、健康と病気の間のことを指します。未病を治すとは、病気に近い状態を健康な状態の方に近づけていくということです。症状が重く、日常生活に支障をきたす場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。